クラウドってな~に?(2016-12-02)
なんで、世間ではクラウド*1サービスが流行っているのか、
私なりの翻訳を試みてみます。
とりあえず、今回はWebメールを例に。
では、はじめまーす。左と右が、ほぼ同じ意味だと思ってください。
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テレビとDVDプレイヤーの関係を思い浮かべてください。
| パソコンとWebメール(クラウド)の関係を思い浮かべてください。
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あなたの手元にはテレビとリモコンしかありません。 あなたのDVDは、 長~いケーブルで、 遠くの人が管理しています。 | あなたの手元にはパソコン(の中のWebブラウザ)しかありません。 あなたのメールは、 インターネット接続で、 遠くの人が管理しています。 |
リモコンの再生ボタンを押せばDVDを再生できます。 テレビには、再生した映画が映りますが、 映像が飛んできているだけです。 いま見ている映画の本体(DVD)自体は、 DVDプレイヤーに入っています。 | Webブラウザ上でダブルクリックすればメールが読めます。 Webブラウザには、メールが映りますが、 映像が飛んできているだけです。 いま見ているメールの本体自体は、 Webメールサーバに入っています。 |
ある日、あなたに一枚のDVDが届きますが、 これがとんでもないDVDで、 再生したら自動発火して機械を壊してしまいます。 「なお、このディスクは自動的に消滅する*2」 | ある日、あなたに一通のメールが届きますが、 これがとんでもないメールで、 開いたらウィルスに感染して機械を壊してしまいます。 「なお、このハードディスクは自動的に消滅する*3」 |
DVDプレイヤーは壊れてしまいました。 でも、あなたの家のテレビは無事です。 めでたしめでたし。 | Webメールサーバは壊れてしまいました。 でも、あなたの家のパソコンは無事です。 めでたしめでたし。 |
・・・あまりめでたくないので、もう少し話を続けます。 「自動的に消滅する」前に、話を戻して、
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DVDプレイヤーを管理している人が言いました。 「我々のDVDプレイヤーは高性能だし、 DVDを入れたり出したりする時も入念なチェックを行っているから 安心です」 | Webメール(≒クラウド)を管理している人が言いました。 「我々のWebメールサーバは高性能だし、 メールを送受信する時も入念なウィルスチェックを行っているから 安心です」 |
「え、DVDを編集したいんですか? それでは、DVDプレイヤーで 編集機能も提供しますので、 お手元のリモコンで操作してください。 操作画面は全て、テレビに表示されますので」 | 「え、メールを作成したり添付ファイルを編集したりしたいんですか? それでは、Webメールサーバ内で、 WordやExcelの機能も提供しますので、 お手元のWebブラウザ上で操作してください。 操作画面は全て、Webブラウザ上に表示されますので」 |
「もしDVDプレイヤーが古くなって壊れても、 こちらですぐに修理しますので、 そこは気にせず、テレビ画面でご覧ください」 | 「もしメールサーバやWordやExcelに脆弱性が見つかっても、 こちらですぐにバージョンアップしますので、 そこは気にせず、Webブラウザでご覧ください」 |
「さらに言えば! DVDプレイヤーは、我々の頑丈な建物で 屈強な漢たちが守って(?)おりますので、 あなたの大切なDVDが 盗まれたり壊されたりすることはありませんし、 あなたの全てのDVDは即座に複製しつつ、 東京と京都の2か所にあるDVDプレイヤーから再生できますので、 火事や地震が起こってもすぐに復旧できます」 | 「さらに言えば! メールは、我々の頑丈なデータセンターで 屈強な漢たちが守って(?)おりますので、 あなたの大切なデータが 盗まれたり壊されたりすることはありませんし、 あなたの全データはリアルタイムで同期しつつ、 東京と京都の2か所にあるデータセンターから操作できますので、 火事や地震が起こってもすぐに復旧できます」 |
今度こそ、めでたしめでたし、でしょうか?
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- つまり、クラウドを利用した方が
安全だの低コストだの言っているのは、
あなたは DVDプレイヤー・Webメールサーバのレンタル料さえ払えば、
業者の人達が遠隔のDVDプレイヤー・Webメールを管理してくれていて、
その安全性の維持や、日々の運用全般を遠隔でやってくれるからなのです。
そして、増減設が比較的かんたんな場合が多いです(≒「スケーラビリティが高い」)。
より高いレンタル料を払って、高性能なDVDプレイヤー・Webメールに変えるのも即座にできて、
機能を制限してレンタル料を安くする、あるいは利用を停止するのも即座にできます、
・・・と謳っている業者が多いですね。
ちなみに「雲(cloud)サービス」と言ってるのは、
前述のDVDプレイヤー・Webメールサーバが雲の上の存在のように、
どこにあるか知らない(知る必要がない)からです。
どこにあろうが、あなたには DVDの映像 さえ届けば良い事なので。
いや、知る必要がある場合もあるんですけど・・・ややこしいな。
(例えば海外の場合です。理由は後述)。
- また、それでも、コストをかけてでも、
それらを超えるセキュリティ、機密性、あるいは特別な事情などを求める場合は、
自社で(on-premises で)運用することになります。
大企業や重要な機関は自前のデータセンターを用意することが、
多いのではないでしょうか。
- しかし、上記はクラウドに対して好意的に書いていますが、
本当にちゃんと管理しているかは、各業者次第なので、十分にご注意 を。
費用と質のバランス、契約内容は業者ごとに違うのは当然の事ですよね。
- あと、あえて1つだけ注意点を上げると、
データセンターが海外にある場合は、その国の法律が適用されます。
新しい大統領が
「我が国の防衛のために、全てのデータを盗聴する」と宣言すれば、
あなたのデータも盗聴されます。
(・・・まぁ、これは国内でも同じ事、か・・・?)
・・・そうそう。
皆さんは、データセンターって、行ったことありますか?
たまに、それ系の映画やアニメには出てきますが、
真っ白で広ーいフロアの一面に、整然とコンピューターが何十~何百台も並んでる、あれ。
マシンが熱暴走しないように室内は常に一定温度で、ICカードとかで厳重に入退室管理やっている、あれ*4。
少しそれますが、
シンクライアント(Thin Client:薄い端末)というのも、これに近い理屈ですね。
手元で再生した画面を移すだけ、本体の管理はすべて遠隔でやる、と。
言い換えると、手元にDVD・メール等のデータがあるから、壊されたり盗まれたりするんだ、
それならば映像だけ遠くから再生するようにして、手元には何も残らないようにすればいい、と。
大雑把な説明ですが、
雰囲気は伝わったんじゃないかな?と思っています。
そして利用するかどうかは、例によって自己責任で*5!